
From juncoop To at 2005 03/20 12:19 編集
返信
カンタータ第80番/優雅なマウエルスベルガー、力強いリリング!
juncoopが聞いた、カンタータ第80番の演奏は、以下のとおりです。10種類。尚、ヘレヴェッヘが未聴ですね・・。
■バッハ/カンタータ第80番「われらが神は堅き砦(Ein feste Burg ist unser Gott)」BWV.80(1724?/1727〜31改作)[SATBschoOrch][8曲]
●ヘルムート・リリング1回目(日本コロンビア)【準推薦】
フリーデマン版使用、リヒターの速く凄まじい表現に比べて、ゆっくりとしたテンポで歌い上げているのが素晴らしい。合唱は抜群の上手さでとても情熱的で感動する。力強い。フリーデマン版を使用した80番では一番推薦したい演奏! 第2曲デュエットの弦のゆっくりと歌い上げた優雅さは美しく、マウエルスベルガー盤に迫るものがある。第5曲合唱コラールの素晴らしさは感動する。
●ヘルムート・リリング2回目(ヘンスラー)
1回目の録音が素晴らしかったのに対して、少しがっかりした演奏。原典版を使用。
●カール・リヒター
フリーデマン版使用、今まで聞いた80番の中でも、最も凄まじい、力強い表現である。冒頭合唱のモテット風もリヒターになるとみじんもない・・。これはほとんど叫びに近い表現。こんな強烈な表現はリヒター独特のものだ。まさに「われらが神は堅き砦」という力強い歌詞をそのまま表現したかったという感じ。この演奏の良し悪しはともかく、やはり聴くに値する演奏である。第2曲デュエットも歌詞の通り力強く表現されている。弦はアーノンクールと同様に、かなり速めのテンポでアクセントの強い弾き方で情熱的。第4曲ソプラノ・アリアからはとても優しい表現でなかなかの出来です。第5曲コラール合唱は再び冒頭合唱同様に凄まじい力強い表現。ここはかなり注目に値し力強い合唱は感動をもたらす。フリーデマンのトランペットとティンパニの荒々しい表現が効果を与えているのは言うまでもない。第7曲デュエットはとてもいいですね。最後のコラールはリヒターがトランペットとティンパニのパートを付け加えて、ちょっとやりすぎの感はある。
●ピーター・ヤン・リューシンク
古楽器による演奏で、アーノンクールに比べてスケールが小さいのは否めない。大らかさが欲しいところ。冒頭合唱の通奏低音を効かせているところは効果を上げている。しかしテンポを速めに処理する傾向があり、第2曲デュエットにおいてもこじんまりとしたスケールの小さい表現。魅力には乏しい。リューシングにはもっと豊かな表現が欲しい。せっかくの名曲も線の細い演奏では魅力も台無しにしてしまう。
●フリッツ・ヴェルナー
フリーデマン版使用、素朴でのんびりとした演奏で、ヴェルナーならではの温かさが伝わる。
●ハンス=ヨアヒム・ロッチェ
原典版使用、冒頭合唱のチェロパートにチェンバロを重複使用し、華やかな効果を上げている。通奏低音にはオルガンを使用している。聖トマス教会の少年合唱の美しさが特筆に値する。第2曲デュエットについてはまあまあの出来で優雅さはある。ロッチェの演奏は落ち着いたテンポで万人受けはする。しかしマウエルスベルガーやトーマスといったトーマスカントルに及ばないのが惜しまれる。
●ヴォルフガング・ゲネンヴァイン
フリーデマン版使用+ゲネンヴァイン版というか、冒頭合唱通奏低音にチューバを使用。この演奏についてのコメントは差し控えたい。
●エルハルト・マウエルスベルガー【大推薦】
冒頭合唱のモテット風の少年合唱の素晴らしさといい、2曲目のデュエットの気品に満ちた優雅な表現は、未だにこれを超える演奏は出ておりません。現在でも最高の80番の演奏で、当分超える演奏はないでしょうねー。全体的に、バッハの原典版のスコアで演奏されていて、フリーデマンのトランペットとティンパニは省かれております。トマス・カントルの演奏は、ほとんど、この原典版を使用してますね。ルターの歌詞どおり力強い演奏がされがちなのですが、マウエルスベルガーのように気品のある素晴らしい演奏はなかなか聴けなくなりましたので、なおさら貴重な録音となってます。
●カール・ミュンヒンガー
フリーデマン版使用、この演奏についてのコメントは差し控えたい。
●ニコラウス・アーノンクール
テルツ少年合唱団を使用して美しい合唱が魅力。ただアーノンクールは速いテンポで演奏している。この合唱はもっとゆっくりと歌ってほしいところ。第2曲デュエットの伴奏は弦でせわしなく、悪く言えば音色が汚い感じがする。もっと弦をゆっくり歌わせて優雅に演奏してほしいところ。しかしソプラノがボウイ・ソプラノなので天使のような歌声が魅力でもある。また第4曲ソプラノアリアの美しさ、第5曲コラール合唱の古楽器の荒々しい表現の素晴らしさがある。第7曲のオーボェとヴァイオリンの伴奏によるアルトとテノールのデュエットはとても美しい。
反論受付中・
|